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週末映画ランキングMOVIE RANKING

専門家レビューREVIEW

毒娘

公開: 2024年4月5日
  • 文筆家 和泉萌香

    「幸せな家族」というが、最初っから夫のモラハラ臭全開で全く幸せそうに見えないのはさておき。人間か、人ならざるものか? 警察の半端な介入描写などがあり、謎めいた少女ちーちゃんの設定と、大人たちの対応があやふやな気もするが、とことん凶暴な彼女が母と妻の座についた従順な女性と、過去の事件で傷を負った娘を「いいカンジの家庭」イメージから引き?がし、文字通り家という籠から蹴りだすさまは荒療治がすぎるが楽しんだ。はらわたをぶった斬る一大流血描写も容赦ない。

  • フランス文学者 谷昌親

    ホラーというジャンルは、きわめて映画的と言えるかもしれない。普段なら気にもとめないシーツや壁、窓や扉が画面のなかでにわかに意味を担ってくるからだ。しかし、ホラーという枠組みは諸刃の剣ともなる。恐怖を抱かせるための表現がどうしても紋切り型となり、既視感を呼び覚ますからだ。内藤瑛亮監督が描きたかったのは、むしろ、後妻として家庭に入った萩乃と義理の娘となった萌花が、ともに抑圧から解放され、自律していく過程であったはずだが、それが背景に後退してしまう。

  • 映画評論家 吉田広明

    毒娘が暴れまわるホラーかと思いきや(まあそうなのだが)、「家族」なるものの偽善を破壊するパンクロックみたいな映画だった。「家族ゲーム」や「逆噴射家族」を思い出した。無論アップデートはされており、「家族」の中でも強者である親にして父が、「同意」による誘導で家族の弱い成員をソフトに抑圧する様は、「家庭」が温かい居場所であるどころか監獄、また強者が弱者を搾取する構造が変えられない今の日本社会の現状を反映している。もう少し人物たちに陰影があっても良かった。

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ゴッドランド GODLAND(2022)

公開: 2024年3月30日
  • 映画監督 清原惟

    ふしぎな夢を見ているような感覚だった。寒い土地の話だけれども、画面の隅々までいつも光があたっているような、独特の色彩がうつくしい。厳密に計算して撮影されたフレーミング、芝居だと思うが、にもかかわらず人々の生活はまるで目の前で本当に繰り広げられているような説得力がある。傍観するようなカメラも、けっして突き放すわけでもなく寄り添うわけでもなく、この土地の匂いや湿度、そして時間そのものを捉えようとしているように感じ圧倒された。犬がとにかくかわいかった!

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    デンマーク人の若い牧師ルーカスがかつての植民地アイスランドの辺境の村へ教会を建てる命を受け、旅立つ前半は過酷な自然に脅かされる受難篇。後半は村の教会が完成するまでの牧歌的かつ不穏な日々が描かれる。ダゲレオタイプに想を得た村人たちの肖像写真が印象深いが、腐蝕する事物たちの定点観測は実験映画的だ。とりわけ二人の姉妹が室内で佇むシーンはその陰影の深さにおいてカール・ドライヤーに影響を与えた画家ヴィルヘルム・ハマスホイの人物画を想起させるすばらしさである。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    19世紀末、デンマーク統治下のアイスランドに派遣された若い牧師。教会を建て、布教するためだが、彼の理想と支配者側の傲慢さは厳しい自然に囲まれた現実の生活に押し潰されていく。旅を描いた前半部の目の眩むロケーション撮影と流れるような映像の絵画は、ヘルツォークを彷彿とさせるほど壮大で、同時にライカートやフォードの西部開拓劇、「ミッション」「沈黙」を思い出したが、神々を知覚させる自然環境の描写は、アイスランドの山々が人の営みを見下ろす「LAMB/ラム」をむしろ連想してもいた。

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公開: 2024年3月29日
  • 文筆業 奈々村久生

    アウトサイダーカルチャーのシーンと製薬会社の過失を記録した志の高さは認めるが、映像によって語る行為において、自分が映画という表現に求めるものとは異なると言わざるを得ない。メインの被写体であるナン・ゴールディンの写真がスライドショー形式で上映されるのを彷彿とさせるような画づくりは、テーマありきで構成され、ビジュアルや言葉はそれを裏づける資料として機能する。ゴールディンの実像もその筋書き以上には見えてこない。題材と手法が必ずしも比例しないのは悩ましい。

  • アダルトビデオ監督 二村ヒトシ

    世界から痛めつけられている。生きているだけで痛い。〈普通〉じゃない私だけの痛み。痛みがあるから芸術を創作し、痛みがあるから恋愛する。鑑賞者の痛みを刺激して感動される。痛い恋愛してるから殴られて眼底骨折する。痛いから戦える。痛いから何らかの依存症になる。痛みなんかないほうがいい。痛みを消してくれる危険な薬物を大量生産して人を殺して儲ける〈普通〉の人非人。ナンは言う。「売春していたことは初めて話した。売春は恥ずかしい仕事ではない。けれど、楽な仕事でもない」

  • 映画評論家 真魚八重子

    ナン・ゴールディンが仲間と、サックラー家が販売製造し中毒者を多く出している「オピオイド系鎮痛剤」に反対運動をしている。映画はナンの過去を振り返り、むしろ80年代にはLGBTQの人々が集まる店で働き、ドラッグサブカルチャーの写真を撮っていたことを語る。被写体の多くをエイズで失ってしまったことも。自己判断で麻薬をやることと、医師の処方箋によってオピオイドの中毒になるのはあまりに違う。それは謎の病気だったエイズが自己判断の死でなかったことと一緒なのだ。

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RHEINGOLD ラインゴールド

公開: 2024年3月29日
  • 映画監督 清原惟

    実在するラッパーの自伝を基にした映画。ヨーロッパの移民のコミュニティ意識についての描写は興味深かったが、ともかく主人公の人生が嘘みたいな展開をしていくので、現実にこういうことが起きていたとはなかなか思えない。強盗をして入れられた刑務所で、ふいに子どもの頃を思い出し、机にピアノを描いて弾くシーンでは、彼の本当の姿がようやく見えたような気がした。このシーンがよかったからか、最後いろいろな描写をすっとばし、成功者になっている展開には、やや違和感も感じた。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    これが実話の映画化とは驚く。ファティ・アキンは「女は二度決断する」の冷徹な復讐鬼と化したヒロインが記憶に残るが、この映画ではクルド系のエリート音楽家の家に生まれたカターが街の不良に半殺しの目に遭い、ボクシングを学んで一矢を報いるエピソードにデジャ・ヴ感あり。ドラッグの売人に身を落とすも刑務所内で作った曲が大ヒットという古典的なジェットコースター風の貴種流離譚でもある。ラップのリズムがいつしか映画の鼓動そのものへと同調する辺りが実にスリリングだ。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    イラン系クルド人の両親をもつクルド系ドイツ人ラッパー“Xatar”の半生に基づく青春・犯罪・音楽ドラマ。1979年に始まり第一次湾岸戦争を通過してドイツを経由し、アムステルダムに辿り着く多言語の物語。主人公の背景も複雑だが、トルコ系ドイツ人監督のアキンは「グッドフェローズ」風の年代記スタイルで手際よく捌く。マイノリティとギャングはアメリカ映画の十八番だったが、ここでは欧州でのクルド系に応用されており、それもハッピーエンド。中身は新鮮。だが容れ物はそうでもないのだ。

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公開: 2024年3月23日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    20年以上前の傑作がデジタル・リマスターを機に劇場公開。出演してくれた証言者たちがいまでは全員鬼籍に入っていることを思うと、この作品の意義は一層大きくなる。彼らの人生には、当たり前だがひとつとして同じものはなく、事態を多面的に見せてくれると同時に、このほかにも膨大な数の人生が失われたことを思い知らされて愕然とする。ここで語られる事態が、自由と寛容の頂点というべきワイマール時代の直後に訪れたという恐ろしさ。「人々はすぐ無関心になる」という言葉の重さ。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    ドイツで施行されていた同性愛を禁じる「刑法175条」を題材にしたドキュメンタリー。特にナチス支配下で男性同性愛者は激しく弾圧され、収容所に送られたという。そのわずかな生存者に迫る本作は、かなり高齢となったサバイバーの鮮烈な体験談を収める。ゲイ、ナチス、強制収容所と強い題材であるにもかかわらず、映画はあまり工夫のない淡白な出来。貴重な証言を世に伝えることが主眼であれば、映像よりもノンフィクション小説に仕上げたほうが良かったのでは。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    ナチが同性愛者を迫害していたという事実をはじめて知った。壮絶な過去を持つ人間が数十年後にその体験を語ってほしいと言われても、そう簡単には語れないだろう。言葉をつまらせ涙を浮かべながら明かされる、彼らが受けた拷問や人体実験の数々。語りたい/語りたくない想いの狭間で引き裂かれる彼らの苦悩と、聞くことを躊躇する若い聞き手の葛藤。歴史を掘り返す双方の勇気が描かれていた。「人間はすぐに無関心になる」という劇中の言葉は真実だけれど、それに抗おうとする真摯な映画。

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地獄 少女 華

公開: 2024年3月22日
  • 文筆業 奈々村久生

    『三体』の劉慈欣による短篇小説を映画化したシリーズ2作目だが、前作ともども原作の面影はほぼ見当たらず。序盤の怒濤のアクション描写とコメディ色が謎すぎる。SFでありながら作劇、メッセージ、映像的にも目新しさはない。それどころか地球の未来を担う各国首脳陣や意思決定のポジションには男性の姿ばかりが集結するという前時代ぶり。全体主義的な自己犠牲の精神性を讃えるような文脈にも危険を感じる。ただし、アンディ・ラウの芝居と彼のパートには一見の価値が残っている。

  • アダルトビデオ監督 二村ヒトシ

    地球自体にエンジンつけて太陽系を脱出する計画の訓練生が恋愛しながら軌道エレベータで宇宙に向かってたら、人類全員が意識をコンピュータに移植して電脳空間で精神体になって生きのびるべきだという思想のテロ集団に襲撃され、スター・ウォーズ的ドッグファイトとCG多用の格闘。すでにお腹は一杯だし、そこからさらに2時間半延々と続くSFギミックと泣かせ演出の連発、そのすべてに既視感。原作は未読ですけど短篇で傑作だというから、きっとギュッと圧縮された〈詩〉になってるのだろう。

  • 映画評論家 真魚八重子

    原作は未読。またシリーズものと思わず1作目も未見。そのためか本作は3時間の大作であるにもかかわらず、突然始まった早回しのダイジェストを観ているようで、恥ずかしながらほとんど意味がわからなかった。全世界で協力して「妖星ゴラス」をするのだろうか。途中でアンディ・ラウが出てきてようやくホッとした。彼と幼い娘のやりとりは悲痛で狂気に浮かされたようなエモーションがあり、ようやく映画らしい瞬間を観た気がした。星はわたしが怠惰な状態で観たのを差っ引いてください。

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nintendo セール

公開: 2024年3月22日
  • 文筆業 奈々村久生

    60年代アメリカを舞台とした物語だが、ノスタルジーとは無縁な16mm映像の等身大レトロルックは、時代劇とは思えない手触りで当時の復刻版かと錯覚してしまうほど。E・バンクスの馴染み方も素晴らしい。特に堕胎に臨む女性の心理、施術室の様子、手順の過程までつぶさに追った描写は秀逸で、数々の映画で感動的にフィーチャーされてきた出産シーンと同じように、今後も描かれていくべきだ。終盤の展開はやや飛躍して見えるが、荒唐無稽な寓話より圧倒的にエッセンシャルな一本。

  • アダルトビデオ監督 二村ヒトシ

    彼女はホテルの宴会場で華やかな、つまらないパーティに出ていた。ホテルのすぐ外では反ヴェトナム戦争のデモ。他人の痛みは自分の痛みではない。だが、そう感じてしまった人間を運命は逃さない。堕胎しないと生きていくことができなくなって初めて、この社会の宗教と道徳は堕胎を許さないことを知る。そうなって初めて出会える人がいる。立場が異なる者たちが同じ立場で戦うとき友情が湧く。お元気そうなシガニー・ウィーバーを見て、僕は「嬉しい、また会えた」という気もちになりました。

  • 映画評論家 真魚八重子

    1960年代、中絶が違法だった時代のアメリカで、一般の女性たちが自分の身体の権利のために、中絶手術を行う極秘の活動を繰り広げる。主演のエリザベス・バンクスは「コカイン・ベア」の監督もすれば、中流家庭の専業主婦の役もこなす、信頼のできるクリエーターだ。この団体の中心人物がシガニー・ウィーバーなのも、圧倒的な頼り甲斐しかない。良い話過ぎるきらいはあるが、この時代に戻るかもしれない切羽詰まった現状では、初歩的な問題をわかりやすく振り返る映画も必要だろう。

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ペナルティループ

公開: 2024年3月22日
  • 文筆家 和泉萌香

    人生という牢獄のなかでいかに生きるか?「恋はデジャ・ブ」はじめ数々の傑作があるループもの。本作は恋人を殺害した男に復讐する一日を何度も繰り返す、というものだが、復讐の方法もターゲットを殺害一択、パターンもほぼ同様、まず復讐とはいえ「殺人」をおこなう主人公の精神面はいかなるものかと注目するも、それへの掘り下げも浅薄、加害者との関係のうつろいもふやけ気味。生や死がどうにも軽く、ただの仮想世界での「ゲーム」的な空虚さが残ってしまう。

  • フランス文学者 谷昌親

    ループものかとやや腰が引けたが、ちょっと様子が違うと気づいたころには作品世界に引き込まれていた。とはいえ、並のループものとは違うというだけなら底の浅い映画になっただろう。主人公の岩森が黄色いコンパクトカーで走る道、夜の深い闇と暗い水面の反映、工場の庭にそびえる木といったなにげない要素がこの作品に艶をもたらしている。ループが終わったあとに聞こえてくる鳥の声と雑踏の音も魅力的だ。いろいろと仕掛けがありながら隙間が残っているのもこの作品の美点。

  • 映画評論家 吉田広明

    何度も死(私)刑を繰り返すVRという発想、主人公と犯人が意に反して仲良くなる展開は興味深いが、ただし犯人の動機、贖罪や死刑制度といった問題には踏み込まず、それはそれで選択、映画に「問題」など必要ないのかもしれない。ただ結局何も変わらなかったかのように見える結末はどうか。主人公に内的変化はあったはずで、それを体感するには彼と犯人の時間が、それだけで映画的時間でありうるほど充実すべきで(犯人の絵がそこで生きるのでは)、それ次第で結末も変わってきたはず。

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公開: 2024年3月22日
  • ライター、編集 岡本敦史

    今の世の中で「生きづらさ」と「解放」を描くなら、こういう話じゃなくない?という違和感が拭えず。恋愛や結婚に生きづらさを覚えている主人公たちがいて、しかし映画としては恋愛成就を帰結とするジャンルムービーなので、矛盾は当然生じる。その矛盾を突破するべきドラマに、強度も説得力も感じられない。彼らが完全に恋愛から解放される瞬間がないからだろうか。後半の展開はホラー映画にも転用できそうで、介護職員の人材不足という問題は痛いほど伝わる内容ではある。

  • 映画評論家 北川れい子

    失うのが怖くて愛に臆病な恋人たちの10年越しの因縁メロドラマだが、国内ロケでも辺鄙な場所を選べば十分通用する話を、わざわざ異国の絶景でロケ、いやその絶景は確かに素晴らしいが、だからといって話が広がるわけでもない。原作者の川村元気としては、恋愛や結婚にいまいち消極的だという世代の一面を描いたのだろうが、未練と感傷の遠回り、君たち、本気で愛したの? いつもテキパキ颯爽とした長澤まさみが、獣医役はともかく、こんな曖昧な行動をするのもいかにも嘘っぽい。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    手紙を読む森七菜の柔らかな声と共に、彼女がプラハ、アイスランドなど各地を歩く姿に瞠目する。まるで佐々木昭一郎のドラマを観ているかのような美しさに魅せられたからだ。都内の何気ない風景も繊細に映し出し、中島歩、河合優実を脇に配した配役も申し分ない。映像技巧に走らず、じっくり芝居を捉えるのも好感を持って観ていたが、失踪していた長澤まさみの謎が明かされると、単に自分がすっきりしたいだけの自己満足的行動かつ、ストーカーめいた真似をしているので白けてしまう。

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公開: 2024年3月20日
  • ライター、編集 岡本敦史

    あられもないビジュアルで子どもに大人気のキャラクターだが、見た目ほど品のないギャグは少ないので親御さんは安心して家族で観に行ってほしい。むしろ節操のなさでは「劇場版 SPY×FAMILY CODE:White」のほうが遙かに上だった。密偵アクション風のストーリーはたわいもないものだが、終幕には大画面にふさわしく特大の一発を浴びせてくれる。りんたろう監督版「メトロポリス」の超巨大ビルと「スチームボーイ」のエフェクト作画が合体したようなクライマックスは一見の価値あり。

  • 映画評論家 北川れい子

    子どもたちに人気というこのアニメを観たのは今回が初めてだが、かなり感心した。人間や動物たちが混在するキャラクターは確かに児童向きだが、どうしてどうして大人でも楽しめる。まぁ当然だろう。テレビアニメと違って児童が劇場版を観に行く場合、大人同伴も少なくない。とあればキャラはともかく雑なドラマは許されない。そもそも“さらば愛しき相棒よ”というサブタイトルからして大人向き。お尻顔の探偵が、隠し球というか、黄色の切り札!を乱発しない節度にも感心する。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    1歳の息子とTV版を見ているため、本欄で担当するアニメとしては珍しく(失礼!)予備知識があった本作。もっとも昔の相棒との馴れ初めが発端になるため一見さんでも問題なし。中心となる元相棒との再会と、贋作絵画すり替え事件の?末も目新しさはないが飽きさせない。陰のあるキンモク先生を奥行きのある声の演技で聴かせた津田健次郎に引けを取らなかったのが、元相棒スイセン役の仲里依紗。声優としての出演作は少ないものの、その声を高く買う者としては今回の役は絶品。

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公開: 2024年3月16日
  • 文筆家 和泉萌香

    棄民亡国、の四文字がぴったりな国だ。三上監督もおっしゃる通り、喜怒哀楽の真ん中の二文字、怒と哀ばかりが胸を占める。「こうやって、私たちを疲れさせようとしている」……。住民の方々の反対、抵抗運動のあと、淡々と画面に現れる数年後の数字。繰り返される叫びの圧殺。だが、よく簡単に「絶望」と言ってしまう私は自分を恥じた。映画に登場する方々の声、皆の祈りが、この2時間が過ぎたあとも、さらにつらなり、さらに大きな祈りにするために、広く上映されることを切望する。

  • フランス文学者 谷昌親

    沖縄の厳しい状況は、それなりに理解しているつもりでいたが、「戦雲」を観ると愕然としてしまう。南西諸島に次々と自衛隊の基地が作られ、ミサイル配備が着々と進んでいるのだ。沖縄の植民地化にほかならず、同時に、日本そのものがいつのまにか臨戦態勢に置かれている……。三上智恵監督の執念を感じさせる取材の結晶だが、基地問題ばかりでなく、与那国島でのカジキ漁など、南西諸島に住む人びとの日々を描くことで、このドキュメンタリー映画に作品としての厚みももたらしている。

  • 映画評論家 吉田広明

    台湾有事を口実に着々と軍事基地化されていく沖縄、南西諸島の現状報告。既成事実で住民を疲弊させる自衛隊=政府、住民投票さえなかったことにして追従する地方議会。実際の有事に備え隊員用シェルターは用意するが、住民避難は保証しない。この島々の住民を守れない/守る気がないとは、つまり日本国民を守れない/守る気はないということだろう。「もしトラ」になれば米は棄日、梯子を外されて矢面に立たされた日本国の棄民は現実化する。思想なき国防が招く末路を考えさせる一作。

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公開: 2024年3月15日
  • 文筆業 奈々村久生

    スポーツ界における師弟関係を利用した性加害が次々と明るみに出てくる中、そこに切り込んだ制作の心意気は買う。が、これは現在進行形で取り組まなければならない切実な問題であり、社会的な制裁が被害者個人の魂を救うとは限らない。それに対してこの脚本や演出はあまりにも事態を単純化しすぎており、被害者と加害者の人物造形や演出も、複雑な現実に対応するきめ細やかさを携えているとは言い難い。性犯罪がいかに一人の人間を破壊するのか、ラストはせめてもの誠意として受けとめたい。

  • アダルトビデオ監督 二村ヒトシ

    現実の事件についてこういう話をすると「加害者を甘やかすな」と批判されることがあるのでこの映画についての話としてするけど、むろん第一に必要なのが被害者の心のケアであるのは当然として、同じくらい重要なのが加害側の心の治療だ。この映画の犯人はパワハラと性的暴行をしないでは生きてる実感がわかない〈死んだ魂〉の持ち主なので服役しながらカウンセリングを受ける義務があるし、この映画に登場する加害側の人間全員にも、あなたはじつは心の病気なのだと教えるべきだと思う。

  • 映画評論家 真魚八重子

    韓国スケーター界の、パワハラ、セクハラと脅迫の犯罪行為を取り扱った映画で、最悪の結果を想定したストーリーである。被害の経験者が、これから被害に遭うかもしれない状況の女性に対して、自分の過去を口にできず、茫漠とした説明しかできないのもわかる。そういった口が重くなる羞恥や苦痛も含めての加害行為なのだ。被害を立証する難しさや、加害者側が有利に立ち回りやすい案件であることも本作は証明する。日本の映画業界も同様の最悪の結果が続き、非常に腹立たしい。

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RED SHOES レッド・シューズ(2023)

公開: 2024年3月15日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    プロットが穴だらけなのはひどいが、カンパニー内や友人同士の信頼の大切さと、「踊らずにいられない」表現者の思いの切実さを描いているのがとてもいい。心情を語るような歌詞の曲に合わせて主人公らがモダンバレエを踊るので、「フットルース」的な青春疑似ミュージカルの趣も。本物の実力者がそろっているからダンスはみな素晴らしく、クライマックスの公演シーンは、撮り方の成否はともかく、パウエル&プレスバーガーの名作と並んでも恥じないものをという作り手の気概を感じる。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    オーストラリアの若きバレエダンサーの物語。姉の事故死のショックに立ち直れずバレエを引退した少女が、バレエ学校で清掃員として働きながらも夢を捨てきれず、再びバレエに取り組む。ほとんどC級少女漫画のような設定で脚本は0点に近いのだが、実際にバレエをやっている人たちをキャストしているだけに、バレエ・シーンは見事。俳優たちがバレリーナを演じた「ブラック・スワン」と比較するとバレエ・シーンの迫力が段違い。いっそ物語パートを省いたヴァージョンを見たい。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    トラウマと向き合い、自己表現を追求する物語は胸を打たれるものだが、本作は肉親の喪失や友人とのすれ違いが深く掘り下げられないまま、既視感満載なエピソードが次から次へと積み重なってゆくので、感情移入しにくい。現代的な側面を強調したいという意図のもと、クラシック音楽の合間に頻繁に流されるポップソングは、人物の感情に表層的に寄り添っているだけだ。とはいえ、バレリーナでもある主演のドハーティは憂いを帯びた表情が美しく、そのしなやかな筋肉のキレには息をのむ。

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ビニールハウス

公開: 2024年3月15日
  • 映画監督 清原惟

    ビニールハウスに住むというのが、「半地下」のことを思い出したり、韓国の賃貸事情について思い巡らせられた。途中までは、主人公の女性のメンタルヘルスの問題や、盲目の認知症の老人との関わりなど、スリリングな心理描写に惹きこまれたが、人が死んでから、グロテスクで既視感のある映画的展開になっていき、もうこういうのはいいかなと思ってしまった。それまでの時間も、すべてこの展開のためのものに感じてしまう。人の不幸を見て喜ぶ感覚が、自分にはわからないからかもしれない。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    かつてイ・チャンドンの秀作「バーニング 劇場版」では荒涼たる田園地帯に点在するビニールハウスの光景が何とも形容しがたい寂寥を感じさせた。だが、本作ではさらに韓国の格差社会の暗喩としてのその存在が徹底化、象徴化されて描かれる。疲弊したヒロインに巣くう絶えざる自己懲罰の衝動と少年院にいる息子への溺愛、そして著しく根拠を欠いた彼女の夢想が無惨に打ち砕かれるさまを、映画は時には仮借なきまでにリアルに、時には詩的で幻想的なビジョンをもってあぶり出している。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    冒頭のビニールハウスでイ・チャンドン「バーニング 劇場版」を、続く母と息子の対話場面で黒沢清「CURE」を連想。いきなり今でも有名な別の何かに似ていたため、この新鋭の志に軽く失望したが、これから始まるドラマの悪夢的なトーンを予告する役割を担わせたのだろう。事実、訪問介護士と貧困を背景とする社会的孤立の物語は雪だるま式に悪化する。キム・ソヒョンの芝居に緊張感があり、イ・ソルヒは脚本と編集も兼ねることで重く憂鬱なリズムとテンポを維持している。少し硬いが意欲作だとは思う。

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バジリスク 絆

公開: 2024年3月15日
  • 映画監督 清原惟

    女性であることが理由で殺される、「フェミサイド」について取り扱った作品。刑事ものではあるが、事件の解決が主旋律というよりは、性別を理由に犯罪にあってしまうことや、女性が晒されている偏見や視線を中心にして事件を描いている。女性だけでなく、男社会である警察内部も描くことで、男性の考え方も相対化している。捜査する刑事たちの個人的な悩みを丁寧に描く姿勢もよかった。男性たちが成し遂げたことは、自転車で山に行けたことくらいなのが、現実という感じがした。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    往年のシャブロルがスモールタウンを舞台に撮った「肉屋」などのミステリの名作によく似た感触がある。若い女性の焼死体が発見され、被害者の奔放な男関係が露わになるも事件は迷宮入りに。捜査官ヨハンは容疑者も愚昧かつ謎だらけでと途方にくれるが、殺人という行為を人間存在の不可解さの証しと捉える視点が光る。時折、ヨハンが夜間、無人の競輪場を黙々と自転車で走行するショットが挿入されるが、彼自身が抱える不分明な闇を払拭しようとする捨て身のアクションのようでもある。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    「事件にとりつかれることがあります。理由はわからないが、事件が頭から離れなくなり……」「のみ込まれる?」「あるいは“壊される”。中から蝕まれる」。男と女の溝に迫る未解決事件ミステリ。16年の実話に着想を得て、よく書かれ、演出され、丁寧に演じられている。ドミニク・モル監督は「悪なき殺人」も優秀だったが、今度はさらに上質だ。女性殺しを捜査するフランスの刑事たちが男性ばかりであったことに着目しており、沈着な主人公の葛藤を伝えた主演のバスティアン・ブイヨンの無表情がいい。

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変な家

公開: 2024年3月15日
  • ライター、編集 岡本敦史

    部屋の間取りという無機質な平面図から立ち上がる、不可解な禍々しさを描いた前半は本気で怖い。森田芳光作品みたいな佐藤二朗のエキセントリックな芝居もすこぶる楽しい。ただ、幽霊は出さないというシバリのせいか(それはそれで心意気や良し)、後半はデタラメな因習ホラーになり、悪ふざけに走るのが残念。ご都合主義的な「展開のための展開」が重なりすぎると、遊びに付き合う意欲もなくす。根岸季衣の大暴走もちともったいなく、もう少し丁寧に作ってもバチは当たらないと思った。

  • 映画評論家 北川れい子

    YouTubeで話題になった動画の映画化だそうで、試写時に渡された作品資料の中に、その動画のQRコードがあり、つい観てしまった。シンプルなだけに動画の方が想像力を掻き立てその間取りまで点検したり。が映画版はクセのある人物たちや、不可解なエピソードを盛り込み過ぎて何が何やら、途中で飽きてくる。“この家は殺人のための殺人代行の家だ”なんて台詞があるが、政治やスパイ絡みのミステリじゃあるまいし。監督は『世にも奇妙な物語』の演出家、本作もその路線に近い。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    YouTube特有の面白さが映画にできるかと訝しみながら観ると、見事に怪奇伝記ミステリへと拡張されている。間取りを自在に作り出す映画ならではの美術セットが駆使されるだけに、実は映画との相性が良かったことに気づく。石坂浩二も登場する後半はまさかの横溝正史的世界へ突入。謎解き役・佐藤二朗の四角い顔が渥美清に似ていることもあり、いっそう松竹版「八つ墓村」へ接近していく予想外の展開を愉しむ。登場と同時に川栄であることを忘却させる薄幸のヒロインも印象的。

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地獄 少女 華

公開: 2024年3月15日
  • ライター、編集 岡本敦史

    前作とは比べものにならないくらい面白かった。そりゃあ井上監督自身の青春時代を描いてもいるのだから、記憶も鮮明で生き生きとしているし、実在の人物描写にも遠慮がない。何より半分コメディであるところが楽しく、それぞれに苦い現実と格闘する人々の悲哀を引き立たせてもいる。若松孝二監督の「微妙な時期」を伝えるドラマも興味深く、シネマスコーレ誕生記としても貴重。井浦新扮する若松監督はもはや寅さんのようで、いくらでもシリーズ化可能だ。次はぜひ90年代篇を!

  • 映画評論家 北川れい子

    正直に言えば、ここで描かれているあれこれの実話は、わざわざ映画にするまでもない極私的な回想録である。いったい誰が監督/脚本・井上淳一の若き日の葛藤を知りたい? 誰が名古屋のミニシアター支配人の人生を覗いてみたい? そして人騒がせな仕掛人、若松孝二監督のこととか。いくら80年代という時代がポイントだとはいえ、しょせん“映画”という井の中に足を掬われた蛙たちが飛んだり跳ねたりしているに過ぎない。と思いつつ、この作品の一途さに嫉妬を感じ、どうしたアタシ。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    若松孝二が映画館を作り、支配人と共闘するシネマスコーレ・パラダイスが観たいのであって井上淳一の自伝が観たいわけではない。終盤も蛇足でしかない。井上監督も承知だろう。だが、それでも自らを劇中に投入することでしか映画にならないと見極めたことが出色の青春映画を生んだ。若き日の自身を醒めた目で描く筆致は若松や映画との距離を描く際にも発揮される。小さな映画だが、シネマスコーレを活用し、井浦&東出、杉田&芋生が大きな存在感を見せることで豊かな広がりを見せる。

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ボンズカジノ

公開: 2024年3月15日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    第1部は作品世界の説明だけで終わった感があるが、話もスペクタクルもほんとうに面白くなるのはここから。巨大砂虫と対決する重要シーンに興奮。熱愛する「ボーダーライン」のときは気づかなかったけれど、その後持ち上がった「もしやヴィルヌーヴはアクションが撮れないのでは」という不安が、今回少しだけ払拭されたかも。もちろんプロダクションデザインは今回も必見。「予言」に翻弄され、苦悩する主人公をティモシー・シャラメが熱演するほか、これでもかという豪華キャストにもびっくり。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による同名SF小説映画化の続篇。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールが砂漠の民と共に反撃する。今回は少年ポールの成長譚という側面が強く、繊細華奢なシャラメとシリアスなヴィルヌーヴの化学反応が、壮大なSF大作に精緻な美学とシェイクスピア演劇のような格調高きドラマ性を導入することに成功した。至高の映画館体験をアップデートする、21世紀の超大作映画のベンチマークになる記念碑的傑作。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    この手の叙事詩はどれも似たようなものだろうと高を括っていたが、緻密なアートディレクション、ハイレベルなVFX、類をみない世界観に終始目を奪われた。人物の心の機微も丁寧に掬いとっており、主人公ポールが心に従うか運命に従うかで葛藤し、カリスマ指導者へと変貌していく過程は見応えがあった。演じるシャラメはますます覚醒。モノクロの使い方も良い。宗教、権力闘争、資源枯渇など普遍的な問題がちりばめられた重層的なストーリーなので、パート1を見てからの鑑賞がおすすめ。

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DOGMAN ドッグマン

公開: 2024年3月8日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    ウェブ ルーレットカジノ 入金方法ゼロの状態で観始めて、ベタとキッチュが混ざった雰囲気に困惑しつつ観ていたら、監督がリュック・ベッソンだと最後にわかってなぜか納得。異常な成育環境のなかで犬と特殊な関係を結ぶだけでなく、演劇に魅せられたり、異性装の歌姫として人気を博したりしつつ、一貫して神の存在に憑かれている主人公の物語は盛りこみすぎな気もするが、はぐれ者や異常性格の役でいまや地位を確立した感のある(?)C・L・ジョーンズに不思議な魅力がある。あと、わんこ好きは観るといいのかも。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    父親から虐待を受けて犬小屋で育った男がドッグトレーナーとなり、女装してドラァグクィーンとしての活動と訓練された犬を使った盗みを生業とする中で、犯罪組織に目をつけられてしまう。リュック・ベッソンの脚本・監督によるこの犯罪映画は、彼の持つ美学性とバイオレンス性が久々に幸福な結婚をした快作。主演ケイレブ・ランドリー・ジョーンズのブチ切れた怪演も相まって、「ああ、ベッソンが帰ってきた」と嬉しくなる。ただ、悪役があまりに弱く、それほどハラハラしないのが玉にキズ。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    黒人の精神科医が聞き手となり、10数匹もの犬と生活するダグラスの半生を辿る。犬小屋に数年間閉じ込められ、下半身不随となった虐待サバイバーであるダグラスの生い立ちがあまりに壮絶。後半、犬を使って犯罪に手を染めるナンセンスな飛躍に戸惑いつつも、賢い犬たちを愛でながらの鑑賞は私のような愛犬家にはたまらない。犬やドラァグクイーンなど、出てくるモチーフすべてがビジュアル先行に思えて、深みを感じられず。気怠く熱演するケイレブの色気が作品に重厚感を与えている。

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ウェブ ルーレットバースデーボーナス

公開: 2024年3月8日
  • 文筆家 和泉萌香

    今回のレビュー4作品はどれも都心部から離れた土地が舞台で、本作は徳島の港町を舞台に、自転車に乗った高校生たちが爽やかに海のそばを駆け抜ける。勝ち負けではなく、得手不得手、できるできない、自分の力ではどうにもならないことがたくさん溢れている世界に生きる少年たちが、互いには干渉しすぎることなくたった一つのことに取り組む姿の描写に加え、eスポーツ会社の大人たちが語るメッセージは、子ども時代を子どもとして過ごさせる優しさに溢れている。

  • フランス文学者 谷昌親

    観る前は、eスポーツがテーマで映画としてどれだけ成り立つのかと不安視していたが、なかなか見ごたえのある作品になっている。青春映画で力を発揮する古厩監督の演出のたまものであることはまちがいないが、実話の映画化というこの作品で、主要な人物となる高専生3人の絶妙のバランス、そしてなによりも彼らが生活の場としている徳島の風景が魅力的だ。少年たちがそれぞれに問題を抱えながら過ごす日々が、海辺にある小さな町の風景のなかでこそ生き生きとしたものになっていく。

  • 映画評論家 吉田広明

    優秀だがいつも一人で行動する三年生と、金髪で一見チャラ男だが心優しい二年生を中心に、「仲間」となった彼らがeスポーツに臨む。部活ものの定番ではあるが、個性がバラバラな三人がまとまってゆく過程の背後に、容易に片付かないそれぞれの家庭が抱える問題や、外国人、障害者など多様な参加者たちの描写をさりげなく挟んで世界に奥行きを与え、決して説明的にならず、しかし紋切り型の友情物語、スポーツ物語の多幸的終局を控える慎ましさが好ましい。さすがベテラン監督。

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ゴールド・ボーイ

公開: 2024年3月8日
  • ライター、編集 岡本敦史

    本来なら「岡田将生のとんでもない悪人ぶりに目を見張る犯罪映画の快作」ぐらいの最小限の予備知識で劇場に走ってほしい映画である。10代のキャスト陣からもプロフェッショナルな芝居を引き出す手腕はさすが金子修介監督で、特に羽村仁成が不敵でイイ。完全犯罪にどんでん返しも盛り込んだ欲張りな内容ゆえ、多少強引な部分もあるが、「このためだったか!」と思わせるラストはやっぱり気持ちいい。金子監督がこういう意欲的な娯楽作をどしどし撮れるのが健全な映画界の姿であろう。

  • 映画評論家 北川れい子

    気色悪さを楽しむ映画と言えるかも。ルーツはさしずめ、アメリカの傑作サイコスリラー「悪い種子」(56年)? 一見愛らしい少女が、冷酷で狡知に長けた殺人鬼だったという話。本作では数字が得意の優等生少年がそのキャラで、仲間と殺人事件を目撃、その犯人を脅迫しようとして逆にさらなる犯罪に加担、その上、仲間を裏切っての二転三転。何やら韓国のこってりしたクライム・サスペンスの雰囲気も。童顔の羽村仁成の何食わぬ顔がスリリングで北村一輝も江口洋介もまったく形無し 。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    ここ10年は金子修介の手腕を生かすには映画のスケール不足を感じることが多かったが、犯罪ジュブナイルの本作で久々に本領発揮。大人たちの大きな物語を片方で描きつつ、少年少女の描写に魅せられる。殊に羽村と星乃が手を繋いで走る瞬間が忘れ難く、金子映画のヒロインベストを星乃が更新する姿を好ましく眺める。岡田の悪辣な存在も見事に映えさせるが、一方で残虐描写は韓国映画と言わないまでも、ヒリヒリする痛みが欲しい。微温的にとどまるため終盤の展開は物足りなくなる。

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ウェブ ルーレットカジノ 入金方法

公開: 2024年3月8日
  • ライター、編集 岡本敦史

    ごく普通の小市民が悪の才能に目覚めたり、壮絶な代償を払いながら人間的に解放されたりする(まあ要するに「ブレイキング・バッド」的な)話に、いきそうでいかない状態がこんなにツラいとは。終始「まとも」な主人公のドラマがとにかく退屈。本来のポテンシャルを発揮することのない佐々木蔵之介を黙って眺め続けるフラストレーションは、静かに、ボディブローのように効いてくる。その空白を埋めるかのような津田健次郎の怪演も、演出側がただ漫然と放任するだけでは生きようがない。

  • 映画評論家 北川れい子

    家族のためなら殺しまで! ドラマ版は知らずに観たが、冒頭でそのいきさつをザックリ語っているので、フムフム。とはいえ、オモチャ会社のサラリーマンでミステリーを書いている主人公が、その過去の殺人が原因で半グレ相手にピンチの連続という本作、まるで他人がムキになっているゲームを遠くから眺めているようで痛くも痒くもない。気を持たせるのが狙いらしい間延びした演出も手の内がミエミエ。主人公の妻が、あなたも家族の一人、私も何か、という台詞には同感したが。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    TVシリーズは未見ながら、そこから7年後に設定されていることもあり、戸惑うことなく入り込める。かつての殺人が露見しかけた佐々木が、敵からの復讐と刑事となった娘との関係を軸に描く古典的な作劇も飽きさせない。善悪双方の役が似合う佐々木の個性が生かされ、ご都合主義やわかりやすい伏線回収も不満にならず。問題は津田健次郎の敵キャラで、新しい学校のリーダーズみたいに首をクネクネ動かしながら悪態をつく芝居が成立するような作りではないだけに、いささか悪目立ち。

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ARGYLLE アーガイル

公開: 2024年3月1日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    007やヒッチコックをちりばめつつ、大枠が「ザ・ロストシティ」そっくりだなあと楽しく観ていたら、中盤で凄いひねりが。そこまでが楽しすぎたせいで、騙された気分で脱落する人も出そうだけれど、これを許容できれば後半も楽しい。赤毛とブロンドの2部構成自体、もしかしたら「めまい」の引用なのかも。主演二人が完全に対等な男女を演じて魅力的。これまでのマシュー・ヴォーン作品同様、人を選びそうな悪乗り気味のアクションが愉快。フィギュアスケートファンとネコ好きは観ると吉。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    スパイ小説の人気女性作家が謎の組織に狙われるという設定で、彼女の小説世界と現実が交錯する。「キングスマン」でもスパイ映画をひねっていたマシュー・ヴォーンは、今回さらにひねったメタ・スパイ映画に仕上げている。主演もスパイ大作に絶対抜擢されそうにないサム・ロックウェルとブライス・ダラス・ハワードというひねりよう。「キングスマン」で披露したVFX遊戯はさらに過剰になり、だんだん真面目に見ていることが馬鹿馬鹿しくなる。これで製作費200億と聞くとやれやれとしか言えない。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    謎が謎のままである前半は楽しめるものの、主人公の過去が明かされてからは、その設定が中途半端なのでヤキモキする。主演のブライスは前半の鈍臭さからの変貌ぶりが見ものだが、終盤に向かって加速するアクションに身体が追いついていない印象。突然スケートが始まったりと、奇を衒ったド派手なアクションシーンも随所に盛り込まれたギャグもあざとすぎて不発で終わっている。ギミックが無駄に多すぎるし、莫大な製作費の割に全体的にチープな作り。デュア・リパをもっと見たかった。

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リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング

公開: 2024年3月1日
  • 映画監督 清原惟

    恥ずかしながら、リトル・リチャードのことを何も知らなかった。自分が聴いてきた音楽たちの礎を築いた人物と知って、本当に驚いた。知らなかったことを知れるというのは、事実を基にした映画のいいところだと思う。文化の盗用、クィア、人種差別など、重要な議論につながる問題提起があって、今この題材の映画を作ることの必然性を感じる。ただし、映画としての構成、映像のあり方には少し違和感もあり、宇宙的なイメージをCGで表現するところなどは、なんだか余計に感じてしまった。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    ジョン・ウォーターズ曰く「リトル・リチャードは私のアイデンティティの一部だ。私の口髭は彼の真似、オマージュなんだ」には笑った。F・タシュリンの「女はそれを我慢できない」で主題曲を歌う彼にウォーターズや無名時代のビートルズが熱狂したのもむべなるかな。豊饒な映像フッテージを駆使して1950年代初頭、すでにクィアであることを宣言し、差別の壁を破壊し、異形でありつつロックンロールの正統なる創始者としての栄光と悲惨を丁寧に跡付けた出色のドキュメンタリーである。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    ジョージア州の公会堂で若きリトル・リチャードがシスター・ロゼッタ・サープの前で歌い、褒められ、舞い上がった彼は早く故郷を出たくなった—「輝く準備はできてたんだ」。ロックンロールの創造者にして設計者は、後続の白人のように讃えられることなく、自分はプレゼンター役。革命的でパワフル、陽気で孤独、そして黒人でクィアの彼が涙を流す。涙は涙でも喜びの涙。これくらいアーカイヴが残されていると、ほとんど“劇映画的”にドラマティックな“ドキュメンタリー”をつくれてしまう。

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ウェブ ルーレットカジノ 出金方法

公開: 2024年3月1日
  • ライター、編集 岡本敦史

    雪国のシビアな思春期ドラマとして始まったかと思えば、大島弓子の漫画『快速帆船』を思わせる展開になり、映画の質感が変幻していくところは面白い。少女の彷徨を幻想的に描く手つきは相米慎二っぽくもある。ただ、一つひとつのセグメントが撫でる程度で通りすぎていくので(特に後半以降)、漠然とした印象が終盤にかけて膨らみがち。監督の自伝的要素が色濃いそうだが、内省を突破する力強さも示してほしかった。主演の長澤樹のインパクトに対し、作品自体の力がもう少し届かない。

  • 映画評論家 北川れい子

    重量感のある北海道の雪深い風景が、大都会で自ら迷子になった少女の支えになっている。自分はまだやっと片足が生えたばかりのおたまじゃくしだ、と呟くもどかしい14歳。雪国生まれの彼女が、母親の死で東京に住む父親に引きとられ、そこから逃げ出してのリアルな体験。その体験には、聖と俗、死、悪意と優しさ、アートに歴史とてんこ盛り、さらに故郷まで続く三途の川?まで登場する。いくつかパターン通りの場面もあるが、幻想をリアル化する宮嶋監督のセンスは素晴らしい。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    新人監督らしい直情的でひたむきな作りには惹かれるが、類型的な設定や台詞に没入を阻害される。悪意の描写も図式的すぎる。監督自身の実体験が多く反映されているようだが、それを客観視する力があれば爆発的な傑作になっていた予感が漂う。終盤の非現実的な飛躍は魅せるものがあるだけに、そこへ至るまでの北海道の雪の冷たさや都会の孤独感の描写にこそ注力してほしかった。長澤樹の無表情は映画を象徴させる力があるだけに、もっと生かせるはず。魅力的な細部が零れ落ちている。

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コットンテール

公開: 2024年3月1日
  • 文筆業 奈々村久生

    「ぐるりのこと。」の夫婦コンビふたたび。イギリス出身の監督が日本的な家族関係や精神性を再現する試みかと思いきや、物語や登場人物像そのものが監督自身を形成した実体験に深く基づいており、自分の世界観を追求することで必然的に日本的な描写も強化される。その意味で日本映画といっても遜色ない完成度には達している。同時に、リリー・フランキーが体現するある種の日本的な男性像は、当然のごとく女性を美化しすぎているが、それを破壊する木村多江の変貌が見事だった。

  • アダルトビデオ監督 二村ヒトシ

    奇妙な味わいの映画。その奇妙さが監督の持ち味か、英語で書かれたセリフを日本語に訳して日本人の俳優が演じるからなのか、日本人が演じる日本の家族を東京と英国の田舎でのロケで英国人が演出してるからなのかはわからないが、いやな奇妙さではない。万国共通〈愛する相手が本当に欲しいものを言葉にしてるのに、そのままの意味で聴きとることができない男が勝手に感じてる孤独〉の問題。しかしこの問題はなんで万国共通なんだろうな。と万国の男性が自分をかえりみて頭をかかえる。

  • 映画評論家 真魚八重子

    この映画は“家族再生を描いた”と銘打たれているが、逆に家族間のぎくしゃくとした不仲が明瞭になる作品という印象だ。リリー・フランキーが妻を深く愛していることの表現として、彼の頑固で融通の利かない性格が前面に出される。妻の遺灰をイギリスへ撒きにいく旅も、用意周到な息子にたてついて、フランキーは路線図も読めぬ土地で猪突猛進していく。それが愛ゆえというのは独りよがりで、結局誰にとっても徒労となる。筆者の父も同類だったので、生前の振り回された疲労を思い出してしまった。

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ウェブ ルーレットバースデーボーナス

公開: 2024年3月1日
  • 映画監督 清原惟

    交通事故で夫を亡くした女性が、事故を起こした相手の家族が経営するレストランで働く物語。交通事故で轢いてしまっただけならともかく、その場で助けずひき逃げをしてしまう男たちが、数年の服役(しかも父が肩代わり)によって許されることをハッピーエンドとして描くのは、文化の違いによる倫理観の違いはあるにしても、さすがに理解が難しいものだった。罪の意識が描かれるが、それも教会で懺悔して終わりというお気楽さで、夫をひき逃げした人の店で働く心情も全然わからない。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    メキシコ時代のブニュエルのメロドラマに似た感触がある。交通事故を起こした大富豪の加害者と貧しい被害者という非対称的な構図、さらに父親は息子の身代わりで刑務所に入り、被害者一家は加害者の大邸宅で使用人として働き、事なきを得る。罪過ではなく赦しという絵に描いた善意が瀰漫する日常の水面下で残忍な復讐劇が勃発するという予見(期待?)は裏切られる。クリシェと化してしまった因果律的なドラマツルギーへの異議申し立て、確信犯的な結末というべきか。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    交通事故で男が死に、その妻と加害側の妻の交流が始まる。「フィリピンの鬼才」のことはよく知らないのだが、無意識にカンヌ監督賞作を含む4本を見ていた。政治、セックス、暴力に絡む内容が多いが、ここでは封印されている。代わりにご馳走の映像がくどいくらい挿入されており、家族たちはセックスのごとく恍惚として食べる。キリスト教の強調があり、霊性を帯びたカメラが人の営みを覗いていく。主演のココ・マーティンも初めて知ったが、フィリピンでは「究極のスター」なのだという。不思議な映画だ。

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スロット 朝一

公開: 2024年3月1日
  • 文筆家 和泉萌香

    冒頭、ラジオが流れる走行シーンに思わず佐向大「夜を走る」を想起。撮影も同じ渡邉寿岳によるもので、夜から朝にかけての船上からの眺め、暗闇に揺らめく青い灯りなどをとらえるカメラが凜として素晴らしい。「夜を走る」は死体を出発点に男たちの物語が動き出すが、本作は不在を中心に男の車が悲しくもぐるぐるとさまよう。が、悪徳ジャーナリストやスナックに通う父親=主人公と台詞含め男性登場人物たちが、肝心の不在以上の虚しさと共に紋切り型かつ簡略化されているようにも。

  • フランス文学者 谷昌親

    散骨業を営む真吾という男の物語で、彼は福島の海辺の町に住む元漁師であり、身近な存在を津波で海にさらわれている。これだけでも充分に複雑な境遇だが、その真吾のそれなりに穏やかな日々を乱すような事件が起きるのだ。なかなか重厚なテーマを、これが初メガホンの小林且弥監督が力強く演出し、俳優陣もそれに応えている。それぞれのシーンは観客の胸に迫るものがあるはずだ。しかし、個々のシーンが突出しすぎるのか、シーンとシーンが有機的に結びついていかないのが惜しまれる。

  • 映画評論家 吉田広明

    なぜ主人公が散骨業を営んでいるのか、通り魔殺人犯の遺骨を巡ってのジャーナリスト、娘らとの確執からその理由が明らかになってゆく。何より、ごく普通のおっさんが倫理的問題にいかに処するか、その決意を淡々と描写を積み重ねて説得的に描いており、おっさんがカッコよく見えてくる。散骨に至る理由は、残された者(殺人犯遺族のみならず自分たち父娘含め)の未来のためではあるが、誰であれ鎮魂はされるべきではという観点まで突き詰めれば宗教的次元まで行けたのだがとは思う。

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52ヘルツのクジラたち

公開: 2024年3月1日
  • 文筆家 和泉萌香

    原作は未読。義父と母親からの虐待を受けていた女性が主人公だが、彼女を世界の中心に次から次へと人物が登場。最低最悪の素顔に皮をかぶったボンボンのキャラクターはさておき、児童虐待の被害者である少年と出会ってからも、それをしちゃダメだろうという彼女の行動が気になりひとりよがりにも思えてしまう。彼女に手をさしのべる彼に対しての物語の仕打ちも酷すぎるもので(女友だちも優しすぎない?)きれいな海が広がるなか、感動的に集束していくさまを見てもまったく納得できず。

  • フランス文学者 谷昌親

    虐待の被害者で、しかもヤングケアラーだったというヒロインをはじめとして、社会に自分らしい居場所を見つけられない人物が何人も出てくる。だからこそ感動的な物語でもあるのだし、ヒロインの貴湖を演じた杉咲花にとって代表作にもなるだろう。すでに大ベテランと言ってもいい成島出監督の演出も手堅い。だが、これでもかこれでもかと続いていく、重たく、それだけに人の心を打たずにはおかないエピソードの積み重ねが、逆に作品を薄っぺらなものにしていると感じさせるのが皮肉だ。

  • 映画評論家 吉田広明

    児童虐待にヤングケアラー、ネグレクトにトランスジェンダーと、どれ一つとってもまともに扱えば血の出る家族や性を巡る問題を次から次と渡り歩いて、その一つとして掘り下げることなく、大映テレビドラマ顔負けのエゲツなく不自然極まる展開で見る者の感情を引きずり回すことにばかり腐心している。これで感動作の積もりだから恐れ入る。マイノリティ問題を飯の種にするなとは言わない。しかしこれは共感の皮を被った搾取であり、真摯にそれに取り組む人へのほとんど侮辱である。

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地獄 少女 華

公開: 2024年2月24日
  • 文筆家 和泉萌香

    自分が起こした事件を挑発的に切り取られ、誹謗中傷に晒された女。事実のねじ曲げなどのメディア批判を含みながら、世間の存在はあくまでも場外に、物語はキャメラがあちらこちらに配置された灰色の迷路のような囲われた場所で、個人の「生き直し」が展開される。二転三転したのちに空はひらけてゆき、高揚感ある青春映画の様相をみせるも、ギミック倒しで強引な印象が拭えず。映画監督の自己弁護にも聞こえる台詞も悪目立ち。

  • フランス文学者 谷昌親

    事件を起こした少女と映画監督志望の少年、少女を取材するルポライターの女と映像関係の仕事をしているその夫、この二組の男女の関係が、現在と過去、現実と映像のあいだを往還しつつ徐々に明らかになっていく過程はスリリングだ。しかし、パズルのピースをうまく散りばめ、現代的な意匠をほどこすことに注意が向き過ぎていて、人物も作品世界もただ画面の表層を流れていく。少女が見た朝焼けや少年が森の中で撮影した少女の姿の前で、もっと立ちどまってみるべきだったのではないか。

  • 映画評論家 吉田広明

    動物園の猿を女子高生が逃がした事件を報じたウェブ ルーレットカジノ エアドロップボーナスコードがフェイクなのか真実なのかを巡る話なのかと思って見ていると、互いに矛盾というか整合性の取れない映像が重なってきて、見る者が疑心暗鬼に捉われる。事件の真相の不確定性が、映像そのものの不確定性にすり替わってくる。合わせ鏡のシーンがあるが、これがこの作品の中心紋ということになる。ただ、入れ子構造を繰り返しているため、どれも本気で受け取れなくなり、ラストの高校生たちの瑞々しい場面も眉唾で見てしまうのが残念だ。

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ウェブ ルーレットカジノ エアドロップボーナスコード

公開: 2024年2月24日
  • 翻訳者、映画批評 篠儀直子

    貧困の惨状、そのなかでの(ときに争いながらの)母娘の絆、少女の怒りと成長をリアルに描きながら、現実と地続きの幻想へと唐突に横滑りしては戻ってくる魅惑的な作品世界。監督が映像の力をとことん信じて撮っていること、および、主演の少女が役柄を深く理解しているさまにまず感嘆させられる。しかもこの少女自身もまた役柄と同様、映画の進行と歩を合わせてめきめきと成長しているようなのだ。ニカラグアの自然の景観も、人間たちの運命への無関心を表現しているかのようで圧倒的。

  • 編集者/東北芸術工科大学教授 菅付雅信

    中米ニカラグアのゴミ集積場を舞台に、そこに生きる母と娘の物語。二人はその環境から抜け出そうとするが、娘マリアの犯した過ちがより困難な状況を巻き起こす。ニカラグア出身の女性監督による長篇作で、貧困、環境問題、女性の権利、人権など、現在のポリティカル・イシュー満載の作品。ゆえに海外映画祭で高い評価を得ているのだろうが、劇映画としては退屈の極み。内容のポリティカル・コレクトネスを映画作品の出来よりも重視する今の批評の風潮に「怒りの娘」ならぬ「怒りの観客」の気持ちになる。

  • 俳優、映画監督、プロデューサー 杉野希妃

    冒頭、カラスが飛び交い、子供たちがたむろする広大なゴミ捨て場の引きのショットからして力強い。母親を探し求めるマリアの旅をドキュメンタリーの如くカメラは追い、芝居もカメラワークもリアリズムに徹している。母親との再会で突如マジックリアリズム的世界観が立ち現れるところでは、ラテンアメリカの監督らしい表現だなと胸が高なった。画力に頼りすぎな感はあるものの、少女の怒り、悲しみ、諦念がニカラグアへの監督の想いと重なるようで、強かな意志を感じる貴重な映像詩。

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nintendo セール

公開: 2024年2月23日
  • 映画監督 清原惟

    人間同士の関係性はとても複雑だということに、真正面から向き合った作品。裁判ものなので、最終的な勝ち負けは存在している。だけれども、人生において何が正しく間違っているかということは、本当の意味では判断できないということを思う。主人公である小説家の女性も、目の不自由なその息子も、弁護士も、みな忘れがたい顔をしている。素晴らしい演技を刻みつけられる場面があった。2時間半という時間が短く感じるほど、彼女たちの過ごしてきた人生の時間を想像させられる。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    かつてのシャーロット・ランプリングを思わせるザンドラ・ヒュラーの沈着な、しかし微妙に千変万化する表情に魅せられる。傲慢さ、悲嘆、諦念、幻滅、その内面で生起している感情を容易には看取させない貌と身振りを見つめているだけで飽くことがない。現場に唯一、居合わせた視覚障がいの息子の怯えと繊細さを際立たせる音響設計、緩慢に〈夫婦の崩壊〉の内実を浮かび上がらせる作劇も見事だ。ショパンのプレリュードがこれほど哀切かつメランコリックに響く映画も稀有ではないだろうか。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    フランスで夫殺害の罪に問われたドイツ人の妻を巡る法廷劇。フラッシュバックではなく、言葉で語られる事件の“解剖”に重点が置かれる。しかも舞台劇的ではなく映画的なのだ。夫妻はドイツ人とフランス人で、共通言語は英語。言語の目隠しが感情の目隠しとなって、関係の力学に軋みが生じる。夫婦喧嘩の感情的な暴発は「イン・ザ・ベッドルーム」「マリッジ・ストーリー」以来のリアリティ。ドイツ女優ザンドラ・ヒュラーが圧巻で、スワン・アルローら男優陣も卓越している。隅々まで緩みない映画表現。

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バジリスク 絆

公開: 2024年2月23日
  • 映画監督 清原惟

    はじめはアメリカの視点に立ちすぎていると思い、ゲーム的な戦闘シーンや、タリバンの人々を動物扱いする米兵にうんざりしながら観ていたが、最後には米兵と米軍に雇われた数多くのアフガン人通訳の絆の話だったとわかる。しかし、彼らと米兵の話は決して美談で終わるものではない。与えられるはずの永住権ももらえず、米軍撤退後に、彼らは殺されたり逃げ隠れたりすることとなった事実が明かされる。米軍が正義の名のもとに行ったことへの批評的な目線があったのはよかった。

  • 編集者、映画批評家 高崎俊夫

    「捜索者」を嚆矢とする数多の〈seek & sight〉のドラマにはどれも抗しがたい神話的な魅力がある。アフガニスタンを舞台にタリバンの武器倉庫を破壊する特命を帯びた米軍兵士とアフガン人通訳の抜き差しならぬ友情と自己犠牲の美徳を謳いあげた本作もその系譜にある。荒唐無稽スレスレの大胆で巧みに構築された手に汗握る奪還劇はカタルシスを与えるに十分だが、ラスト、米軍の撤退後、タリバンが実権を握ったアフガニスタンで起こった光景に思いを馳せると暗澹とならざる得ない。

  • 映画批評・編集 渡部幻

    ガイ・リッチーが新境地の開拓に挑んだ佳作。“Guy Ritchie's The Covenant”の原題からその意気込みは伝わる。2018年のアフガニスタン。米国への移住ビザを約束された地元通訳と、彼に命を救われた米軍曹長。国家と政治を排除しきれない題材ではあるが、リッチーが語りたいのは立場を越えて個になる男同士の恩義の物語。もっとも、リッチーには新機軸でも、観客にもそうとは限らないが……。ジェイク・ギレンホールはやはり上手だが、寡黙な通訳のダール・サリムも印象に残る。

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マッチング

公開: 2024年2月23日
  • ライター、編集 岡本敦史

    マッチングアプリ利用者を標的とした連続殺人事件をめぐるサスペンスミステリーというアイデアは秀逸。ブライダル業界で働きながら私生活では恋愛への興味が薄い主人公を、土屋太鳳が現代に即したリアリティをもって演じ、非常に好感が持てる。だが、物語が進むにつれて紋切り型でない場面を探すほうが難しくなり、しかも途中から別の因縁話がメインになって、マッチングアプリも関係なくなる。ちゃんとタイトル通りに主題と四つに組み合えば、企画も主演俳優も生きたのに。

  • 映画評論家 北川れい子

    内田英治監督の、観客を驚かせ、引っ張り回そうとする魂胆がミエミエのホラー系ミステリーで、ここまでエグいと逆に笑いたくなる。俳優陣も乱暴な脚本と演出に闇雲に役を演じているかのよう。マッチングアプリでの出会いが転がって、親の因果が子に及び、という新派悲劇寄りの血腥い復讐劇。マッチングアプリはあくまでも復讐の火種なのが意外と言えば意外か。冒頭の「アプリ婚連続殺人事件」が恐怖の賑やかし的なのも、内田監督ならではの観客サービスってわけ。

  • 映画評論家 吉田伊知郎

    角川ホラーとしてはVHSや携帯に較べるとマッチングアプリでは普遍性に欠ける。運営会社が個人ウェブ ルーレットカジノ 入金方法を覗き見しているなら意図的に結びつけたりしそうだが。アプリ婚連続猟奇殺人も見た目の派手さと裏腹に、それをどう仕立てたかは描かれず。この監督は前作「サイレントラブ」と同じく安易にフラッシュバックを多用しすぎで、そこで帳尻を合わせようとする。土屋太鳳は善戦。普通のドラマよりも異常な状況へ生真面目に立ち向かう演技の方が映える。佐久間は役の難易度が高すぎた。

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スケジュールSCHEDULE

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2024年4月19日 公開予定

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山田太一による長編小説『ウェブ ルーレットカジノ 銀行振込との夏』を「荒野にて」のアンドリュー・ヘイが独自に翻案して再映画化。ロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダムは、30年前に死別した両親と再会。至福の時を過ごす中、同じマンションの住人ハリーと恋に落ちてゆく。出演は、本作で第81回ゴールデン・グローブ賞 主演男優賞(ドラマ部門)ノミネート、第58回全米批評家協会賞で主演男優賞を受賞した「1917 命をかけた伝令」のアンドリュー・スコット、「aftersun アフターサン」のポール・メスカル、「SKIN スキン」のジェイミー・ベル、「ウーマン・トーキング 私たちの選択」のクレア・フォイ。

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世界中で大人気の『きかんしゃトーマス』シリーズの劇場版。トーマスたちの秘密基地、ルックアウトマウンテンで不思議な事件が発生。「大大大冒険クラブ」のメンバーに劇場版初登場となる自閉症のブルーノが加わり、トーマスと仲間たちは謎解きの大冒険に出発する。声の出演は田中美海、越乃奏、大久保瑠美、古賀英里奈といったレギュラー陣のほか、「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」のディーン・フジオカ、女性ピン芸人のやす子がゲスト参加。監督は「映画 きかんしゃトーマス めざせ!夢のチャンピオンカップ」のキャンベル・ブライヤー。

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実在した最強の呪術師・安倍晴明が陰陽師になる前の知られざる学生時代を描く呪術エンタテイメント。陰陽寮の学生・晴明は、呪術の天才ながらも陰陽師に興味がなく、授業もサボってばかり。そんな中、貴族の源博雅から皇族の徽子女王を襲う怪奇現象の解決を頼まれる。若き日の安倍晴明を「キングダム」シリーズの山崎賢人、源博雅を「最初の晩餐」の染谷将太、徽子女王を「マイ・ブロークン・マリコ」の奈緒が演じる。監督は「アンフェア」シリーズの佐藤嗣麻子。

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2024年4月17日放送
13:00〜15:14 NHK BSプレミアム

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2024年4月18日放送
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